「森の中の風と光」 鉾田市立鉾田南小学校

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敷地は鉾田市の中心市街地近くの丘陵地にある約5haの広さをもつ山林と農地であった。頂部の農地は比較的平坦であったが、周囲は木々に覆われた斜面で、北側道路とは12~20mの高低差がある。さらに、南東から南西にかけては周囲を深い森が取り囲む。
この山野に7つの小学校を統合する新しい小学校を建設することとなった。統合する学校として、子どもたちの学習空間としての充足を高い次元で実現し、広域から通学してくる子どもたちの交流機会を育む空間をもつこと、自然環境を活かした空間とすることを目指した。

段丘の上の比較的平坦な部分に校舎と運動場を、沢のあったところに調整池を割り当てた。東に向かって上り坂となっている北側道路との高低差が最も小さくなる東寄りに学校入口を設け、なおかつ調整池を囲むように進入路の距離を採ることで高低差を解消した。
日当たりのよい南側に広い運動場を設け、校舎は北西側に配置した。また、敷地の外周に構内通路と駐車場を回遊させて、山林との境界を明確にして校内環境を良好にするとともに防犯安全性を確保した。

校舎は体育館と一体として2階建てとした。自然に囲まれた中で子どもたちができるだけ地面に近い場所でのびのびと過ごすことができるようにするためである。
校舎は中央に2層吹抜のメディアセンターを据えて、各学年のスペースや特別教室、体育館等がその周りを囲む。広域からバスで通学してくる子どもたちが時間と空間を共有できるように構成した。

メディアセンターは、ハイサイドライトから採りこまれた光が天井に反射し、また木製の格子によって室内に拡散する。柔らかな木漏れ日が差し込み、その光が子どもたちを包み込む、学びの森であり、憩いの森として空間を実現した。
表皮は風にたなびくリボンのように、穿孔のステンレススクリーンで覆った。周囲の森や空を映しこみ、季節や天候に応じて表情を変える。夏の強い日差しを遮りながら、吹き渡る風を室内に導く仕掛けである。

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