敷地は水戸市の中心部から数km離れたところにある。矩形の敷地に細長い長方形の平面形状をもつ3階建ての既存の建物が斜めに建っていた。周辺は住宅地と農地で、医療を志す若い人たちが息をつく場所もない。

既存建物で授業を継続しながら新たな校舎を建設することが与えられた課題だった。既存建物を取り囲む変形ロの字の平面形の2階建ての新校舎を建てで、完成後に既存建物を解体して囲まれた広場にするという解法を思いついた。

看護師としての技量を習得することを基本としながら、患者に対する優しさや人間の尊厳を学ぶ場ととらえ、学生の感性や心の豊かさを刺激するうるおいのあるキャンパスをめざした。ループ状の校舎の内側に生まれた中庭は友人や先生たちとふれあう機会を誘発する仕かけである。ときにキッチンカーや移動販売車も入ることができる。