「Twist & Stack」 リブリオ行橋(行橋市図書館等複合施設)

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行橋市は北九州市から南南東約25㎞に位置する。約7万人が住む北九州市のベッドタウンである。行橋という地名は町村制施行の合併前の旧行事村の行と旧大橋村の橋に由来する。
この辺りは江戸時代には小倉城下から中津城下をつなぐ中津街道の宿場町であり、また、長峡川の水運によって小倉藩最大の米の産地として城下を支える在郷町でもあった。建築家・辰野金吾の辰野片岡事務所監督の下建設された旧百三十銀行行橋支店(現在の行橋赤レンガ館)は往時の経済力を物語る。そして、行事、大橋ともにかつての地割の面影を今も残す。

この施設は、市立図書館を基幹に市民の文化活動のための機能や子育て支援機能が付加された複合施設である。図書館の持つ集客力を活かして中心市街地ににぎわいを創出する起点となること、同時に「にぎわい」と「静けさ」という異なる性情を共存させることが求められた。

敷地はふたつの村の境界を流れる長峡川の右岸大橋川に位置し、旧百三十銀行と向かい合う木蝋商柏谷代々当主柏木勘八郎の屋敷跡という由緒をもつ。
4層からなる建物を下層と上層の量塊に分節し、ツイストさせた。下層は赤レンガ館と正対する。ふたつの敷地がもつ因縁を尊重すると同時に、背後にある旧大橋村の町割りと整合させて、市民を受け入れ、街に新たなにぎわいを創出するように仕掛けた。上層は長峡川と正対する。それは、上階から眺める対岸の旧行事村の街並みとも符号する。
ツイストする量塊は、不整形な土地形状への対応であると同時に、歴史的文脈の上に未来を積み上げる企図の表出でもある。

上層はキュービックな量塊を浮遊させることを可能にする鉄骨造とし、下層は上層の鉄骨造の応力を合理的に伝達する鉄骨鉄筋コンクリート構造とした。経済性・耐震性を兼ね備えながらツイストする形態と空間の連関性を両立した。
内部空間は構造体そのものを意匠とした。構造体が表出する無彩色の内装に、全面を流れる長峡川の煌めきを床パターンに展開し、エレベーター廻りにアクセントとなる色を施しながら4層の空間に連続性を与えている。

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