「大屋根の下のワンルーム図書館」 砺波市立砺波図書館

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加賀百万石を支える穀倉地帯であった砺波平野は、今も散居村と呼ばれる美しい田園風景の様が継承されている。ここに住む人々が代々高い合理性と豊かな心情を兼ね備えた高い品格を備えてきたことに起因する。あずまだちと呼ばれるその母屋の佇まいがそのことを如実に物語る。そうした心象を下に「大屋根の下のワンルームの図書館」を構想した。

あずまだちを現代的に解釈した大きく緩やかなうねりをもつ大屋根を、砺波市の新たなランドマークにする。未来に飛翔するペーガソスの翼のように市民の教養の象徴ともいえるものにしたいと考えた。同時に、西側の通りと平行に低く構えた軒下から館内の様子を通りに開くように設えた。

館内は大屋根のうねりが反転して表出するひとつながりの空間である。天井の傾斜の強い北側では市民が立ち寄り触れ合うことから生まれるにぎわいを誘発する。奥に進むにしたがって天井の勾配は緩くなり、子どもから高齢者まで来館する全ての市民は濃密な木の温もりと高窓から注ぐ柔らかな自然の光に包まれる。天井の傾斜の和らぎとともに知の世界への畏敬の念を抱きながら、本の森の静けさに身を置く安堵感が得られるように仕掛けている。

2方の階段から上がる上階もひとつながりの空間を共有する。そして、館内全体を見晴らすことができる。そこから眺める階下の床にはチューリップの写真を拡大しモザイク状にカーペットを敷き詰めた。そもそも学ぶことは楽しい。しかもその様は砺波市の図書館だから可能な設えである。
住所
富山県砺波市幸町
竣工
2020年07月
敷地面積
6,602.24㎡
建築面積
2,819.48㎡
延床面積
3,342.62㎡
構造規模
RC造一部S造 2階建て
※押田建築設計事務所との共同企業体による設計

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